連載
「そうだ アニメ,見よう」第74回は手塚治虫氏原作の「どろろ」。名作を大胆にアレンジした今期注目のリメイク作品
1967年に「週刊少年サンデー」誌上で連載がスタートし,1969年にTVアニメ化された手塚治虫氏の伝奇漫画「どろろ」(TVアニメ版は途中から「どろろと百鬼丸」に改題)。当時は暗めの作風が子供に受けず,コミックとTVアニメ共に打ち切りとなってしまった作品だが,斬新な設定と世界観がコアなファン層を獲得し,その後,ゲームや実写映画,スピンオフ作品などを多数生み出している。
というわけで,「そうだ アニメ,見よう」第74回は,手塚治虫氏の原作漫画をリメイクした「どろろ」。手塚プロダクションとMAPPAが共同で制作にあたり,監督は「機動戦士ガンダムUC」や「劇場版 はいからさんが通る」などを手がけた古橋一浩氏が務め,シリーズ構成は小林靖子氏が担当している。
「どろろ」
しかし,赤子は偶然通りかかった医者の寿海(CV:大塚明夫)に拾われ,一命を取りとめる。不憫に思った寿海は,赤子に「百鬼丸」と名付け,作り物の身体を与えるのだった。
時は流れ,鬼神は景光との約定を果たし,国には平安が訪れた。
そんなある日,幼い盗賊のどろろ(CV:鈴木梨央)は,両腕に刀を仕込んだ,全身作り物の男・百鬼丸(CV:鈴木拡樹)と出会う。百鬼丸は失った身体を取り戻すために,妖怪を退治する旅の最中。妖怪に襲われるも,命を救われたどろろは,百鬼丸の旅に同行するのだった。
人心が荒んだ戦国の世を背景に,百鬼丸とその相棒のどろろの旅を描いた「どろろ」。漫画の神様・手塚治虫氏の名作をリメイクした作品だけに,内容はともかくタイトルだけは知っている人も多いはず。半世紀ぶりのアニメ化となった本作は,当時の作品をリスペクトしつつ,さまざまなアレンジを追加し,現代版「どろろ」として生まれ変わっている。
原作とは細部の異なる百鬼丸だが,両手に仕込まれた刀のギミックは健在 |
たとえば,原作版の百鬼丸が奪われた身体の部位は48か所だが,本作では12に減少。どろろとの出会いの段階で3分の1程度取り戻していたところを,0からのスタートと改変されている。そのため百鬼丸の顔は皮膚の代わりに仮面をかぶされた状態で登場し,五感もすべて奪われたまま。腹話術のような手法でコミュケーションできた原作版とは違い,どろろとの意思疎通もままならないという有様だ。
視覚もないのに,どうやって妖怪達と戦うかというと,百鬼丸は人物や物の魂を炎のような光として認識し,その色によって敵と味方を識別している。この他にも第3話「寿海の巻」のエピソードなど,独自の解釈によるオリジナル要素が多数登場し,原作版とはまた違った楽しみ方ができるのが現代版「どろろ」なのだ。
妖刀に取り付かれた男との戦いでは,刀の光を識別していた |
寿海の過去の掘り下げは本作のオリジナル要素だ |
身体を取り戻すことで弱くなる百鬼丸
物語は1話完結方式で進行し,百鬼丸が鬼神を倒すごとに身体の部位が戻っていく。はじめに皮膚が戻り,次に痛覚,右足,両耳,声帯と順に五感も取り戻していくのだが,初めて聴覚を取り戻した百鬼丸は,音が邪魔で妖怪との戦いに集中できなくなる。
原作でも描かれていたが,百鬼丸は“身体を取り戻すごとに弱くなる”のだ。人間以上の力を持つ妖怪と戦うには自身も“化け物”であるほうが都合がいい。皮肉にも,普通の人間に近づいていくことで,百鬼丸は戦闘力を失っていく。
人間性を取り戻していくことで戦いはより凄惨なものへと変化していく |
本作では,それまで赤ん坊のようだった百鬼丸が,五感を取り戻していくことでどのような人間性を獲得していくかを描いている。彼がどう成長していくのかが今後の見どころとなりそうだ。
第6話で琵琶丸(CV:佐々木 睦)が「鬼が出ないといいが……」と懸念していたように,身体を取り戻したことで,彼の心が暗黒に染まってしまわぬことを願うばかりである。
百鬼丸の中に鬼神の片鱗を見た琵琶丸 |
旧アニメ版をリスペクトしたシーンに注目
今回,手塚プロダクションとMAPPAがタッグを組んでアニメーション制作にあたっている。手塚プロは初代アニメ版を制作した「虫プロ」が前身となるプロダクション。本編の随所に初代アニメ版をリスペクトしたカットを散見でき,旧作ファンを喜ばせている。
オープニングの百鬼丸やどろろの走るカット,どろろのちょっとした仕草など,初代アニメ版へのオマージュとも言えるカットに,ついニヤッとさせられることもしばしばだ。
また,現代版へとアレンジされた戦闘シーンは圧巻だ。第6話の殺陣シーンは,手描きならではの滑らかさと迫力でつい引き込まれた。それもそのはず,監督の古橋氏といえば,いまだに語り草になる名作OVA「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」を手がけた人物。今回もけれん味あふれる演出で,緊張感のあるアクションシーンに仕上げていた。
第6話の鬼気迫る百鬼丸のアクションシーン |
これまでもさまざまな形でリメイクされてきた「どろろ」。2019年版となる本作は,これまで手塚作品を1本も見たことがないという人でも十分楽しめるよう,現代風にアレンジされた作品だ。できれば,本作をきっかけに“漫画の神様”手塚ワールドへ足を踏み入れる人が増えれば幸いである。
なお,アニメ版の百鬼丸役を担当している鈴木拡樹氏主演の舞台「どろろ」が,3月2日より全国4都市で上演される。チケットの購入方法やスケジュールなどの詳細情報は「こちら」と下記リリースを参照してほしい。
TVアニメ「どろろ」公式サイト
TVアニメ「どろろ」公式Twitter
放映データ |
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2019年1月〜 |
キャスト | |
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百鬼丸:鈴木拡樹 | |
どろろ:鈴木梨央 | |
琵琶丸:佐々木 睦 | |
醍醐景光:内田直哉 | |
多宝丸:千葉翔也 | |
寿海:大塚明夫 | |
縫の方:中村千絵 | |
ナレーション:麦人 |
スタッフ |
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原作:手塚治虫「どろろ」 |
監督:古橋一浩 |
シリーズ構成:小林靖子 |
キャラクター原案:浅田弘幸 |
キャラクターデザイン:岩瀧 智 |
音楽:池 頼広 |
オープニング・テーマ:女王蜂「火炎」 |
エンディング・テーマ:amazarashi「さよならごっこ」 |
アニメーション制作:MAPPA/手塚プロダクション |
製作:ツインエンジン |
どろろ(C)手塚プロダクション/ツインエンジン |
鈴木拡樹が舞台&アニメ声優 主演!
北原里英・有澤樟太郎ら出演!
舞台「どろろ」全キャスト決定・ビジュアル公開!
2019年3月2日(土)〜23日(土)
東京・大阪ほか全4都市にて上演
人気俳優・鈴木拡樹が主演を務める舞台「どろろ」が、全キャストとビジュアルを公開!手塚治虫の傑作「どろろ」が、1月より放送開始のTVアニメと共に、舞台でも蘇ります。
主演「百鬼丸」役には、鈴木拡樹が抜擢。鈴木は2019年1月より放送予定のTVアニメ「どろろ」においても同役でTVアニメの声優に初挑戦します。「どろろ」役には、元NGT48のメンバーで、舞台「新・幕末純情伝」で主演を演じるなど、現在は女優として活躍目覚ましい北原里英が、そして、「多宝丸」役には、ミュージカル「刀剣乱舞」等で活躍中の有澤樟太郎が決定。そして、「賽の目の三郎太」役に健人、「仁木田之介」役に影山達也、「助六」役に田村升吾、「醍醐景光」役に唐橋充、「縫の方」役に大湖せしる ら旬な実力派俳優陣が集結します。
<舞台「どろろ」 概要>
<タイトル> 舞台 「どろろ」
<キャスト> 鈴木拡樹/北原里英/有澤樟太郎/健人 影山達也 田村升吾 赤塚篤紀 児島功一/唐橋 充 大湖せしる
<スタッフ> 原作:手塚治虫 脚本・演出:西田大輔 脚本協力:小林靖子/吉村清子/金田一明/村越繁
3月17日(日)17:00(東京公演・千穐楽)の、全国映画館ライブビューイングと、CSテレ朝チャンネル1での生中継が決定!
詳しくはhttps://www.dororo-stage.com/topics.html
<公演日程>
<大阪>2019年3月2日(土)〜3日(日)
梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
<東京>2019年3月7日(木)〜3月17日(日)
サンシャイン劇場
<福岡>2019年3月20日(水)
ももちパレス
<三重>2019年3月23日(土)
三重県文化会館大ホール
<チケット料>
全席指定 8,900円(税込)/先行特典非売品グッズ付き・全席指定 10,500円(税込)
※先行特典非売品グッズ付き・全席指定は、先行のみの販売となります。
<チケット販売>
詳しくは公式HPまで https://www.dororo-stage.com/schedule.html
<主催>
舞台「どろろ」製作委員会
<企画制作>
エイベックス・エンタテインメント/Office ENDLESS
<公式HP>
https://www.dororo-stage.com/
<公式Twitter>
@dororo_stage
◆TVアニメ「どろろ」 2019年1月7日(月)よりTOKYO MX、BS11ほかにて毎週月曜放送予定中!
Amazon Prime Videoにて日本・海外独占配信中!(http://amzn.to/2DgirLN)
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