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発売直前のGoogle純正スマホ「Pixel 3」&「Pixel 3 XL」レビュー。Android端末の中では読み出しの速さが光る
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印刷2018/10/30 17:45

レビュー

Google純正スマートフォンはAndroid端末の標準となり得るのか

Google Pixel 3&Pixel 3 XL

Text by 林 佑樹


 既報のとおり,Googleは,「Pixel」ブランドの第3世代スマートフォン「Pixel 3」「Pixel 3 XL」を,国内市場向けに投入する。かつてGoogle純正スマートフォンであったNexusシリーズと同様に,Android端末のリファレンスとなるであろう製品であり,ゲーマーからも注目を集めそうだ。
 Pixel 3シリーズは,Google自体だけでなく,NTTドコモとソフトバンクからも11月1日に発売予定となっており,すでに予約注文したという人もいるだろう。

Pixel 3(左),Pixel 3 XL(右)
メーカー:Google
問い合わせ先:「Pixel Phone ヘルプ」のお問い合わせ先
価格:Pixel 3:ストレージ容量64GB 9万5000円(税込),ストレージ容量128GB 10万7000円(税込)
Pixel 3 XL:ストレージ容量64GB 11万9000円(税込),ストレージ容量128GB 13万1000円(税込)
画像集 No.003のサムネイル画像 / 発売直前のGoogle純正スマホ「Pixel 3」&「Pixel 3 XL」レビュー。Android端末の中では読み出しの速さが光る 画像集 No.002のサムネイル画像 / 発売直前のGoogle純正スマホ「Pixel 3」&「Pixel 3 XL」レビュー。Android端末の中では読み出しの速さが光る

 4Gamerでは,Pixel 3およびPixel 3 XLのファーストインプレッションをレポート済みであるが,このときは発表会場でのテストであったため,制限が多くて細かい部分までのチェックはできていない。しかし,限られたテスト結果からも,データ読み出しの速さが印象的で,Android端末を選ぶゲーマーにとって,魅力的な製品になり得る可能性を感じていた。

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[2018/10/12 00:00]

 そこで本稿では,Googleから借用した評価用のPixel 3とPixel 3 XLを使い,ベンチマークテストを中心に実力を検証していく。端末の特徴や外観については,説明を割愛しているので,ファーストインプレッション記事や発表時の記事を参照してほしい。

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[2018/10/10 00:19]


Googleレンズは海外ゲームのプレイ時に便利


 ベンチマークテストに入る前に,ゲームライフにも便利そうなGoogleの独自アプリ「Google Lens」(Googleレンズ)について触れておこう。
 Google レンズとは,カメラのフレーム内にとらえた被写体をAI処理によって認識して,被写体に関連する情報を提示したり,関連するアプリを起動したりといった処理を行うアプリだ。

Googleレンズのデモより。カメラでとらえたイタリア語のテキストを自動翻訳している。認識から翻訳にかかるタイムラグはほとんどなく,ゲーム画面に出てきた英文を,手元のPixel 3でパッと訳せるのは便利だ
画像集 No.004のサムネイル画像 / 発売直前のGoogle純正スマホ「Pixel 3」&「Pixel 3 XL」レビュー。Android端末の中では読み出しの速さが光る
 実際に使用してみると,カメラでとらえた文字の認識や物体の識別,それらに関する検索結果の自動表示など,日常的に出番が増えそうな機能を有している。Googleが,AIとカメラを使った外界認識技術を洗練させていることが,よく現れているアプリだ。
 たとえば,ゲームプレイにおいては,海外のPCゲームをプレイ中に分からない英単語が出てきたら,Googleレンズでサクッと調べるといったあたりで重宝している。

ホームアプリ(左)はスッキリしたもので,特筆すべき設定項目も見当たらない(右)。右画面の下に見える横長のボタンが,Android 9.0のホームボタンだ。Android 9.0では,ホームボタン周りの操作が変更されているので(関連記事),店頭デモ機で触る機会があったら確認してみよう
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Playgroundのデモより。手前に写っている2人と背景の間にアイアンマンが立っているように見えるのに注目
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 また,カメラを使ったAR機能として,「Playground」(旧称:AR Stickers)というアプリもある。これは,カメラに写っている情景にキャラクターやステッカーを表示できるという機能で,ステッカーを貼り付けると貼った場所にちゃんと残り続けたり,被写体の後ろにキャラクターが立っているかのように見えるというものだ。

本稿執筆時点のPixel 3シリーズは,デレステのARスタジオに対応していない
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 最近では「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」(以下,デレステ)における「ARスタジオ」機能のように,現実世界にキャラクターを重ねて写真を撮れる機能を持ったゲームも登場しているが,ゲームのAR写真機能がPlaygroundにも対応すると,我々はより幸せになれそうである。
 なお,本稿執筆時点では,Pixel 3およびPixel 3 XLは,デレステのARスタジオ(オートモード)には非対応であった。


Galaxy S9比でCPU性能はやや低め

ストレージ性能の高さはゲームにも有用


 ベンチマークテストへ進む前に,Pixel 3とPixel 3 XLのスペックは,表1にまとめておいた。ディスプレイサイズや本体サイズ,重量やバッテリー容量といった大きさに関わる要素以外は,2製品とも同じスペックであることが分かるだろう。

表1 Pixel 3,Pixel 3 XLの主なスペック
Pixel 3 Pixel 3 XL
メーカー Google
OS Android 9.0(Pie)
ディスプレイパネル 5.5インチ有機EL,解像度1080×2160ドット,アスペクト比 9:18(1:2),443ppi,HDR対応 6.3インチ有機EL,解像度1440×2960ドット,アスペクト比 9:18.5,523ppi,HDR対応
プロセッサ Qualcomm製「Snapdragon 845」
・CPUコア:Kryo 385 Gold(最大2.5GHz)×4+Kryo 385 Silver(最大1.6GHz)×4
・GPUコア:Adreno 630
メインメモリ容量 4GB
ストレージ 64GB,128GB
アウトカメラ 光学式および電子式手振れ補正機能搭載
約1220万画素,開放F値1.8,視野角76度
インカメラ 二眼式,標準:約800万画素,開放F値1.8,視野角76度
広角:約800万画素,開放F値2.2,視野角97度
対応LTEバンド FDD LTE Band 1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/20/21/25/26/28/29/30/66
TDD LTE Band 38/40/41/42/48
対応3Gバンド Band 1/2/4/5/6/8/19
バッテリー容量 2915mAh 3430mAh
待受時間 最大12日間(LTE) 最大14日間(LTE)
連続通話時間 最大17時間(3G) 最大18時間(3G)
無線LAN対応 IEEE 802.11ac
Bluetooth対応 5.0+LE
USBポート USB 3.1 Gen.1 Type-C
公称本体サイズ 68.2(W)×7.9(D)×145.6(H)mm 76.7(W)×7.9(D)×158.0(H)mm
公称本体重量 約148g 約184g

 今回のテストに用いたベンチマークテストは,「3DMark」のSling Shot Extreme UnlimitedプリセットとSling Shot Extreme Vulkanプリセット,「AnTuTu Benchmark」のアプリ版と,Webブラウザで実行するHTML5版「AnTuTu HTML5 Test」,そしてストレージベンチマークアプリである「Androbench」を実行した。筆者のテストで常用している「PCMark for Android」のStorage testは,何度やっても計測途中でアプリが強制終了してしまうため,その代替としAndrobenchを採用した次第だ。
 また,今回は比較対称として,筆者の私物であるNTTドコモ版「Galaxy S9」でも同様のテストを行った。

 まず,3DMarkから見ていこう。Sling Shot Extreme Unlimitedプリセットの結果をまとめたのがグラフ1となる。グラフィックス性能を示すGraphics scoreは,Pixel 3/Pixel 3 XLがGalaxy S9よりも約3%高いものの,総合スコアであるOverall scoreやCPU性能を示すPhysics scoreのスコアは,Galaxy S9のほうが高いという結果となった。とくにPhysics scoreの差は,Galaxy S9比でPixel 3が約85%,Pixel 3 XLは約93%と,誤差とは思えない程度の差がついているのは気になるところだ。

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 今回テストした3製品は,いずれも同じSoC(System-on-a-Chip)である「Snapdragon 845 Mobile Platform」を採用している。ただ,Galaxy S9のCPU最大動作クロックは,高性能側CPUコアのKryo 385 Goldが2.8GHz,高効率側CPUコアのKryo 385 Silverが1.7GHzであるのに対して,Pixel 3シリーズのCPU最大動作クロックは,Kryo 385 Goldが2.5GHz,Kryo 385 Silverが1.6GHzとやや低めとなっているのだ。
 一方で,GPU動作クロックについては,GoogleだけでなくGalaxy S9のメーカーであるSamsung Electronics(以下,Samsung)も公開していないので,Pixel 3シリーズとGalaxy S9のGPU動作クロックに違いがあるのかは分からなかった。

 同じSoCを採用していても,端末によって最大動作クロックが異なるというのは,スマートフォンにおいては珍しいことではない。放熱設計やバッテリー駆動時間といった要素によって,処理性能に関わる動作クロックは制約されるので,どうバランスを取るかはメーカー,あるいは端末によって変わってくる。Pixel 3シリーズは,やや低めのCPU最大動作クロックに設定しているため,それが3DMarkのスコア差に現れたと考えるのが妥当ではないだろうか。

 そんな事情を踏まえたうえで,Sling Shot Extreme Vulkanプリセットのスコアをまとめたグラフ2を見てみると,こちらはより明確に,Galaxy S9のスコアがやや高くて,Pixel 3とPixel 3 XLはそれを下回っている。動作クロックの差が,負荷の高いVulkanのテストで現れたと考えるのが妥当だろう。
 ちなみに,放熱の問題かもしれないと考えて,Pixel 3シリーズの背面に風を当てた状態でも計測してみたが,変化はなかった。

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 比較するとGalaxy S9には及ばないものの。3DMarkのスコア自体は,2018年のハイエンド市場向け端末として十分に優れたものであるといえる。ゲームにおける性能に,悪影響はないだろう。

 次に総合ベンチマークテストであるAnTuTu Benchmarkのスコア(グラフ3)を見てみると,3DMarkとは似て異なる結果が出ているのが興味深い。
 Pixel 3とPixel 3 XLのスコアはほぼ同じで,スペックどおりの結果といったところだが,Galaxy S9とは明白に異なるのだ。面白いのは,CPUスコアはGalaxy S9比で86〜87%程度と,3DMarkの傾向をやや拡大したものと言えるのだが,逆にGPUスコアは,Pixel 3シリーズのほうが約16%も高いのだ。加えて,メモリアクセス性能テスト「MEM」の結果は,Pixel 3シリーズが約70%も高いという極端な結果となっている。
 GPUスコアとMEMスコアで,これほどの差が付いた理由は分からない。メインメモリチップのスペックが分かれば,MEMスコアの理由は判明するかもしれないのだが,GoogleにしろSamsungにしろ,そこまで細かい情報は開示していないのだ。いずれにしても,スコア自体はハイエンド端末相応の優秀なスコアであり,快適な動作が期待できそうである。

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 AnTuTu HTML5 Testのスコアをまとめたものがグラフ4となるのだが,Pixel 3シリーズは,Galaxy S9よりもほとんどすべての項目で上回っており,スペック相応に優れた結果と言えよう。ただ,一部の項目はテストが動作したにもかかわらず,なぜか正常に結果を取得できていない点には不安が残る。端末が発売前なので,テスト側が正常に対応できていない可能性がありそうだ。
 AnTuTu HTML5 Testの場合,総合スコアの差が6000ほどあると,体感でも性能差が分かるくらいなのだが,Pixel 3シリーズの総合スコアは高いので,HTML5ベースのゲームを遊ぶ場合においても,性能不足となる心配はないだろう。

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 続いては,ストレージ性能を調べるAndrobenchのスコアから,逐次読み出し/書き込みとランダム読み出し/書き込みをピックアップした結果を見てみよう。なお,このテストのみ,参考値としてNTTドコモ版「Xperia XZ3」での測定結果も加えている。
 グラフ5がそのスコアであるが,Sequential Read(逐次読み出し)とSequential Write,およびRandom Read(ランダム読み出し)は,多少差があるものの,どの端末もおおむね優秀な結果だ。ただ,Pixel 3 XLは,ほかの3機種と比べて逐次読み出しが84〜86%程度と低く,一方で逐次書き込みは15〜21%程度も高いという,いささか腑に落ちない結果となった。
 また,Random Write(ランダム書き込み)は,Pixel 3とPixel 3 XLが群を抜いて高い。

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 各メーカーは,内蔵ストレージの詳しい仕様を公開していないのだが,非公式な情報によると,Pixel 3シリーズは内蔵ストレージに「UFS 2.0」(Universal Flash Storage 2.0)規格対応のフラッシュメモリを,Galaxy S9は「UFS 2.1」対応フラッシュメモリを採用しているという(※Xperia XZ3もUFSだが,2.0か2.1かは不明)。規格のうえでは,UFS 2.0とUFS 2.1の間にデータ転送速度の違いはないので,ランダム書き込みに大きな性能差が付いている理由は不明だ。内蔵コントローラを含むフラッシュメモリ側の仕様に,性能差を生む理由があるのかもしれない。

 ただ,ストレージ性能差は明確に体感できる。今回のテストであれば,デレステのチュートリアル時におけるデータ読み出しがその好例だ。Galaxy S9とXperia XZ3に比べると,Pixel 3シリーズは露骨に速い。他のタイトルでも,ゲームの起動時やアップデート時に体感できるだろう。Pixel 3シリーズにおいては,ストレージ性能がゲームの快適さにおけるボトルネックになることは少ないのではなかろうか。


デレステは対応前でもたつきが目立つ

PUBG MOBILEの動作は快適そのもの


 それでは,実際のゲームにおけるプレイフィールを検証していこう。プレイテストには,主にPixel 3 XLを用いている。テストに用いたのは,お馴染みのデレステと「PUBG MOBILE」,「Fate/Grand Order」(以下,FGO)の3タイトルだ。

 まずは,デレステからなのだが,新製品発表会の時点で,Pixel 3シリーズはデレステに対応しておらず,筆者がテストした期間中も状況は変わらなかった。実際に動作させてみても,プレイにおいては入力取得漏れが散見され,MVの再生時にはもたつきが目立っている。
 サーマルスロットリングが発生しているのではないかとも疑ったのだが,Pixel 3シリーズの背面に,CPUクーラーと12cm径ファンを置いて冷却を促進してみたものの,変化はなかった。やはりゲーム側の問題であろう。デレステは,最新端末への対応が早いタイトルではあり,Pixel 3シリーズでの動作検証が行われないのは考えにくいので,デレステファンは,しばらく様子見を推奨する。

前回検証時の写真だが,今回のテストでもタイミング調整は「+12」と優秀な値だった
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 前回の検証と同様に,タイミング調整の結果は「+12」,付属のUSB Type-C to 4極3.5mmミニピン変換アダプターを使用してヘッドセットをつないだ場合は「+20」と,Android端末としては良好な結果となった。この傾向が,ほかのリズムゲームにおいても変わらないのであれば,リズムゲームファンにとって検討する価値のある端末と言えるので,ゲーム側の正式対応に期待したい。

 次にPUBG MOBILEをテストしてみた。設定できる範囲でもっとも負荷の高いグラフィックス設定にして,3時間ほどぶっ通しでプレイをしてみたところ,オブジェクトの多い場所ではまれに描画のもたつきが起きる程度で,プレイに支障となるような問題とは遭遇しなかった。非常に快適なプレイが楽しめる。

Pixel 3 XLにおけるプレイテスト時の設定。「クオリティ」は「HDR」,「フレーム設定」は「ウルトラ」,「アンチエイリアス」は「有効」に設定した
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テストプレイ中の様子。3時間ぶっ通しで遊んでみたが,とくに問題はなし。プレイ前に,Androidの設定アプリで画面の自動輝度調整をオフにしておくくらいだろうか
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 PUBG MOBILEのテストプレイで気がついたのは,Pixel 3 XLは,ステレオスピーカーが良好なことだ。音の広がりがあり,銃声や足音も聞き分けやすいので,敵や味方の位置をつかみやすいなという印象が強い。筆者は,スマートフォンでもヘッドフォンを付けてゲームをプレイすることが多いのだが,自宅ではスピーカーで音声を流してゲームをプレイする人にとって,Pixel 3 XLは魅力的な選択肢となりそうである。

 ちなみに,Pixel 3 XLでは,Android版「フォートナイト」がGoogle Play上で表示されなかっため,今回はテストできなかった。発売後には対応するだろうが,フォートナイトはPUBG MOBILEに比べてグラフィックス負荷が低いタイトルであるため,動作の快適さには期待できそうだ。PUBG MOBILEがこれくらい動くのであれば,3Dグラフィックス中心のゲームタイトルに関しても,良好な動作を期待できるだろう。
 ただし,Pixelシリーズは伝統的にmicroSDカードに対応していないので,ストレージ容量を食う3Dゲームをたくさんプレイしたいと考えている人は,なるべく内蔵ストレージ容量の多いモデルを選択することをお勧めする。

 さて,最後にFGO(※バージョン1.48.0)のテストだが,今回は主にロード時間(読み出し時間)の長さをチェックした。デレステやPUBG MOBILEにおいては,Pixel 3 XLのデータ読み出しは速くて快適で,プレイ環境としての印象はとてもいい。それでは,バトル前の読み込みなど,読み出し時間の長さが悩み所となっているFGOではどうだろうというわけだ。

 読み出し時間の計測は,ゲームデータをダウンロードした状態で「宝物庫の扉を開け」のクエスト開始をタップしてから,バトル画面が表示されるまでの様子を別途用意したスマートフォンで録画し,その映像から所用時間を割り出すという手段をとった。計測は3回行い,その平均値で比較している。

3サーバントをマウントした状態で計測,サポートのサーバントも固定している
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 テストに用いたのは,Pixel 3とPixel 3 XL,筆者所有のGalaxy S9とiPhone XS Max,そしてXperia XZ3の5台だ。Xperia XZ3以外の4台は,ネットワーク側の速度がボトルネックとなりにくい深夜2時付近に実行した。
 なお,Xperia XZ3の計測は,NTTドコモの新製品発表会で行ったもので,FGOのバージョンも1つ古く,細かい条件は異なる。しかし,それ以外のテスト端末でバージョンアップ前と後に計測した限りでは,結果に変化は見られなかったので,そのまま採用している。

 グラフ6にまとめたのがその結果だ。Pixel 3シリーズは,iPhone XS Maxよりは遅いものの,Xperia XZ3とほぼ同等で,Galaxy S9よりは速いといった結果になった。「FGOをやるならiOS端末」と言えなくもないのだが,Android派のゲーマーとしては,許せる範囲の結果ではないだろうか。既存のAndroid端末と比べても,Pixel 3とPixel 3 XLの読み出し時間は速いほうだろう。

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 Androbenchの結果と見比べて考えたが,ベンチマークテスト結果とFGOの読み出し時間に,関連性は見えてこない。逐次読み出し性能がそのまま反映されるならPixel 3 XLはもっと遅いはずだし,ランダム読み出し性能がそのまま反映されるのであれば,Pixel 3を除くAndroid端末3機種は,横並びになるはずだ。しかし実際は,Pixel 3シリーズとXpeia XZ3の差は誤差レベルである。むしろ,なぜGalaxy S9のみが遅いのかが気になる。
 Galaxy S9だけが遅い理由を考えてみたが,OSにAndroid 8.0を使っていることや,ホームアプリの違い,あるいはSoCの動作チューニングによる違いといった漠然とした理由しか浮かんでこず,なんとも悩ましい。Android版FGOが,スペックに比例することなく端末ごとに読み出し時間が異なるアプリ――Android版「艦隊これくしょん」がそうだった――である可能性もあるが,そうなるとお手上げだ。ともあれ,Pixel 3シリーズは,FGOの読み出し時間が速いことを覚えておいて損はないだろう。

 ところで,やや脱線気味であるが,画面解像度を変更できる端末の場合,解像度を下げることで,FGOの読み出し時間を短縮できる可能性がある。確認したのはGalaxy S9だが,1440×2960ドットと1080×2220ドット,720×1480ドットの3種類から解像度を選択可能で,それぞれで読み出し時間を計測すると表2のような結果となった。低解像度のほうが,明確に読み出し時間が短くなったわけだ。

表2 Galaxy S9で画面解像度を変えてFGOの読み出し時間を計測した結果
1440×2960ドット 1080×2220ドット 720×1480ドット
25.4秒 24.2秒 21.4秒

 ハイエンドなSoCを搭載する端末で,画面解像度の変更に対応する端末は多くないのだが,もし画面解像度が変更可能なスマートフォンを使っていて,FGOの読み出し時間を短くしたいと考えている人は,試してみるといいかもしれない。


Pixel 3シリーズは,ゲームの動作も安心なAndroid端末となり得る


 Google純正のPixel 3とPixel 3 XLが国内向けに登場したことは,素直に喜ぶべきものだろう。国内発売後は,Googleの最新OSをいち早くテストできる純正端末として,ゲーム開発者側が動作検証に使う端末となる可能性も高そうなので,スマートフォンゲーマーにとって,ゲームが正常に動作するかをあまり心配しなくても済む製品となりそうだ。テストで見てきたように,ゲームの動作もおおむね良好であり,いろいろなジャンルのゲームをプレイする人にも,ちょうどいい端末となるだろう。

 ただ,iPhoneシリーズと同様なのだが,Pixel 3シリーズはmicroSDカードスロットを持たず,ゲーム以外のデータを内蔵ストレージ以外に保存する手段がない――クラウドストレージに保存するのは別として――点は,頭に置いておく必要がある。最近のスマートフォン向けゲームタイトルは,総じてストレージの消費が激しい。「内蔵ストレージ容量は,64GBで十分」と思っていると,気がついたときには空き容量が足らないという事態に直面する可能性は高い。128GBモデルだと,やや安価なPixel 3でさえ,価格が10万円を超えてしまうのは辛いところであるが,Pixel 3シリーズの購入を検討している人には,128GBモデルをお勧めしておく。

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[2018/10/12 00:00]

GoogleストアのPixel 3製品情報ページ

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