インディーズゲームの小部屋：Room＃510「Dimension Drive」

　これといって買いたいものが見つからないままサイバーマンデーが終わってしまった筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第510回は，2Awesome Studioの「Dimension Drive」を紹介する。本作は，左右に2分割された戦場をワープで移動しながらステージを攻略していくという縦スクロールシューティングだ。なにせ普段，ゲームくらいしか買ってないし……。


　さまざまな次元の宇宙を渡り歩き，数千もの文明を支配下に置いてきたアシャジュル帝国。銀河という銀河が帝国の手に落ち，永久に続く戦いと征服を止める術はないと思われたが，そこにはたった1つだけ希望が残されていた。それが，主人公のジャックリーンが駆る戦闘機，マンティコアである。未知の動力で動く，次元間移動が可能なこの機体で，故郷を滅ぼした帝国の野望を食い止めるのだ。


　本作は一見するとよくある縦スクロールシューティングだが，その最大の特徴は，1つのステージが左右に2分割されている点にある。もちろん，左右にはそれぞれ異なる戦場が描かれており，マンティコアの次元間移動能力「ディメンションドライブ」を使って，任意のほうにワープできる。例えば，右側の戦場が行き止まりになっていたら，左側に退避するといった具合に，状況を見ながら戦う場所を選ばなくてはならないのだ。


　とは言え，何も考えずにワープすると，反対側にある敵機や障害物にぶつかってしまうので要注意。ワープ後の出現場所はピンク色の光点で示されているので，しっかりと安全を確かめてからワープを実行したいところ……なのだが，そっちばかり見ていると肝心の自機に対する注意がおろそかになってしまう。それではと，両方をまんべんなく見るようにしていると，今度は自機がどっちにいるのかとっさに分からなくなってしまったりして，実に厄介だ。


　また，ゲームを進めるとマンティコアの機能が強化され，機体の向きを上下反転させる「リバースドライブ」と，地形をすり抜けながら左右にショートダッシュする「ドリフトドライブ」が使用可能になる。本来，機体のパワーアップは嬉しいものだが，本作ではこれらを駆使しなければクリアできないステージが登場することを意味しており，操作のややこしさにますます拍車がかかる。ああもう，頭がこんがらがっちゃう！


　ゲーム難度は4段階あり，一番易しい「ノーマル」だとシューティングゲームとしては簡単な部類なのだが，上述のようなゲーム性のおかげで，かなり手ごわいゲームに仕上がっている。カメレオンのように，左右の目で別々のものを見るくらいのことができなければ，これよりも上の難度をクリアするのは無理ではないかと思われるほどであり，控えめに言って思考がまったく追いつかない……。


　左右の戦場の状況を的確に見極めてワープで潜り抜けていくところは，まるでパズルゲームのようでもあり，一風変わったシューティングゲームを探している人にぴったりな本作。嬉しいことに日本語ローカライズされており，Steamにて1280円で発売中なので，一瞬の判断力に自信のある人はぜひどうぞ。目指せ，人間カメレオン！

■「Dimension Drive」公式サイト

http://www.dimensiondrive.com/