「GeForce 545.84 Driver」で動画再生のクオリティを引き上げる「RTX VSR 1.5」を導入

　米国時間2023年10月17日，NVIDIAは，公式最新版グラフィックスドライバ「GeForce 545.84 Driver」をリリースした。WHQL（Windows Hardware Quality Labs，ウィクル）通過版となる本バージョンは，Release 545世代最初の公開版ドライバで，動画再生の新機能「RTX Video Super Resolution 1.5」（以下，RTX VSR 1.5）や「CUDA 12.3」に対応したのが特徴だ。RTX VSR 1.5は，GeForce RTX 20シリーズ以降のすべてのGPUで利用できる。

　Release 530世代で組み込まれたRTX VSRの詳細については，関連記事を参照してほしいが，動画の解像度をディスプレイ解像度にまで高める高解像度化に焦点を当てた超解像技術だ。
　GeForce 545.84 Driverで組み込まれた新バージョンのRTX VSR 1.5では，動画と同じ解像度で再生したときに，映像品質を向上させる機能が追加されている。具体的には，低ビットレートでとくに目立ちやすいブロックノイズやボケを，RTX VSR 1.5により改善できるという。従来型のデブロックフィルタやシャープネスフィルタと違って，RTX VSRはAI技術を利用して，細部を再構成できることが特徴のようだ

NVIDIAが公開している動画の一例。RTX VSR無効（画像右側）だとボケて読み取れない建物壁面の文字が，RTX VSR 1.5（画像左側）で再構成されて，一部は読み取れる

　設定は，これまでと同様に，「NVIDIAコントロールパネル」の「ビデオイメージ設定の調整」で，RTX VSRを有効化するだけのシンプルなものだ。強度を変えて好みの品質で視聴できるそうなので，GeForce RTXユーザーは試してみるといいだろう。

　ゲーム関連では，直近のアップデートによりDLSS 3対応を果たした剣戦バトルロイアル「NARAKA: BLADEPOINT」と，19日のアップデートでDLSS 3対応予定のアクションRPG「Warhammer: Vermintide」へのサポートが追加されているとのこと。両タイトルともDLSS 3対応により，GeForce RTX 40シリーズユーザーならば，4K解像度でも高いフレームレートで楽しめると，NVIDIAはアピールしている。

　そのほかにGeForce 545.84 Driverでは，「Stable Diffusion」で広く利用されているブラウザインタフェースが利用できる画像生成AI「Stable Diffusion Web UI」向けの「TensorRT Extension」が組み込まれた。Stable Diffusion Web UIにTensorRT Extensionをインストールすることで，最大2倍の性能向上が得られるとのことだ。
　TensorRT Extensionを利用するには，グラフィックスメモリ8GB以上を搭載するGeForce RTXシリーズGPUが必要になる。NVIDIAがセットアップ方法を公開しているので，画像生成AIを楽しんでいて，なおかつ条件を満たすGeForce RTXユーザーは試してみてほしい。

　ドライバのアップデートは自己責任となる点を理解してもらったうえで，すぐにでも入手したい人は，以下に示したリンクかGeForce Experienceを利用してほしい。

→Windows 11・64bit版Windows 10用GeForce 545.84 Driver（669.03 MB）
https://www.nvidia.co.jp/download/driverResults.aspx/212900/jp
→ノートPC向けのWindows 11・64bit版Windows 10用GeForce 545.84 Driver（669.03 MB）
https://www.nvidia.co.jp/download/driverResults.aspx/212932/jp


●GeForce 545.84 Driverの対応製品

• デスクトップPC向けGeForce RTX 40シリーズ
• デスクトップPC向けGeForce RTX 30シリーズ
• デスクトップPC向けGeForce RTX 20シリーズ
• デスクトップPC向けGeForce GTX 16シリーズ
• デスクトップPC向けGeForce GTX 10シリーズ
• NVIDIA TITAN RTX
• NVIDIA TITAN V
• NVIDIA TITAN Xp
• NVIDIA TITAN Xシリーズ
• デスクトップPC向けGeForce GTX 10シリーズ
• デスクトップPC向けGeForce GTX TITAN X
• デスクトップPC向けGeForce GTX 900〜700シリーズ
• ノートPC向けGeForce RTX 40シリーズ
• ノートPC向けGeForce RTX 30シリーズ
• ノートPC向けGeForce RTX 20シリーズ
• ノートPC向けGeForce GTX 16シリーズ
• ノートPC向けGeForce GTX 10シリーズ
• ノートPC向けGeForce 900M〜800Mシリーズ
• ノートPC向けGeForce MX 500シリーズ
• ノートPC向けGeForce MX 400シリーズ
• ノートPC向けGeForce MX 300シリーズ
• ノートPC向けGeForce MX 200〜110シリーズ

●GeForce 545.84 Driverが統合するソフト（※比較対象はGeForce 537.58 Driver）

• GeForce Experience：3.27.0.112
• HD Audio Driver：1.3.40.14
• PhysX System Software：9.21.0713
• NVIDIA RTX Desktop Manager：記載なし
• CUDA：12.3（←12.2）
• NVIDIA Control Panel（DCH）：8.1.964.0

●GeForce 545.84 Driverの新要素

• RTX VSR 1.5に対応
• 「NARAKA: BLADEPOINT」「Warhammer: Vermintide」のDLSS 3アップデートに対応
• Stable Diffusion Web UI向けTensor RT Extensionに対応
• CUDA 12.3に対応

●GeForce 545.84 Driverで解決した問題

• 一部のディスプレイをDisplay Stream Compression（DSC）モードで利用していると，ランダムにブラックスクリーンになったり，表示がちらついたりすることのあった問題
• ディスプレイがスリープ状態から復帰したあとに，表示色が異常になることのあった問題

●GeForce 545.84 Driverにおける既知の不具合

• Maxwell世代のGPUで，「Halo Infinite」の描画性能が大幅に低下することがある
• Windowsでログオンユーザーを切り替えるたびに，システムトレイにNVIDIAアイコンが追加されることがある